住宅ローンのおそろしさとFX
「家賃並みの負担で家が買えます!」
「家を買っておけば資産になります!」
なんて耳障りの良い宣伝文句を耳にされた方も多いでしょうし、結婚や出産を機に住宅購入を検討している方もたくさんいらっしゃるかと思います。
もちろん不動産屋も銀行もボランティア事業をしているわけではありませんから、先ほどの耳障りの良い宣伝文句の裏には私たち消費者にとってデメリットになりかねない怖さが潜んでいます。
ということで今回は、ローンで住宅を購入する際に知っておきたいおそろしさを”怖い投資”の代名詞であるFXと比べながらご説明していきます。
FXとは
まずFXについて簡単にご説明します。
FXに詳しい方は次の章へ飛んでください。
円やドルをはじめ世界中には数多くの通貨がありますが、それぞれの通貨の価値は常に変動しています。
たとえば昨日1ドル100円だったのが、今日になると1ドル105円になったとか、要はそういうことです。
もし昨日、手持ちの100万円をドルに換えておけば100ドルが手に入ります。
その100ドルを今日、円に換えたとすれば105万円になるので1日で5万円増やすことができます。
すなわちFXとは通貨間の価格変動を利用する投資方法です。
さらにFXは上がるか下がるかの2択しかありませんので、難しい知識は全く必要ありません。
ドルが上がると思えばドルを買えばいいし、円が上がると思えば円を買えばいい、ただそれだけです。
恐怖の原因、レバレッジ
話を元に戻しますと、住宅ローンとFXの共通点が1つあります。
それは「レバレッジ」です。
レバレッジは直訳すると”てこ”の意味で、”てこ”を使えば普段では持ち上げられない重たいものも、簡単に持ち上げることができますよね。
お金の世界での”てこ”は手持ちの資金以上の大きな金額の投資をすることを指します。
100万円の手持ち資金で1,000万円の投資を行うとレバレッジ10倍、100万円の手持ち資金で2,500万円の投資をすればレバレッジ25倍となります。
具体的な例をご紹介しますと、1ドル100円の時に1万ドル購入しようとすると普通は100円×1万=100万円の手持ち資金が必要ですが、レバレッジ25倍の場合は4万円の手持ち資金があれば1万ドル分の投資をすることができます。
たったの4万円で100万円持ってる人と同じ投資ができるんですよ!
びっくりですね!
でも住宅ローンの場合もおんなじです。
近所に素晴らしい新築マンションが建ち、2,500万円で売り出しています。
でも手元にはこれまで貯めた100万円の貯金しかありません。
この100万円を頭金にして残りの2,400万円を銀行から借りた場合もレバレッジ25倍です。
本来なら2,500万円を持っていなければ買えないマンションをわずか4%の資金で購入することができるのです。
レバレッジの内容は何となくご理解いただけたでしょうか?
さらに住宅ローンとFXの共通点もお分かりいただけたでしょうか?
では本番です。
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倍速以上で損得が動く
手元にある4万円をレバレッジ25倍でドルに投資すると、1万ドルの取引ができます。
もしも1ドル100円で購入して1ドル105円で売却すると…何と5万円の儲け(※)です!
元手の4万円の倍以上の利益ですね。
※10,000×5円=50,000円
逆に1ドル100円で購入して1ドル95円で売却すると5万円の損です。
たったの5円下がっただけで、元手がゼロになったうえにさらに1万円分の損をしています…。
あぁFXって怖い!
って思いました?
では住宅ローンの場合はどうでしょう。
100万円の頭金と2,400万円のローンで2,500万円のマンションを購入したとします。
賃貸とは比べ物にならない豪華な設備、何より「ついに家を買った!」という精神的な安定が手に入ります。
ただ住宅ローンは数年で返せるような小さい借金ではありません。
ローン返済中に想定外の転勤があったり、離婚して慰謝料を支払わなくてはいけなくなったり、お子さんが独立して広い家が不要になったらどうします?
おそらく多くの方は貸すか売るかを検討すると思います。
順調に400万円を返済していてもまだ2,000万円の借金が残ります。
果たして2,500万円で購入したあなたの素晴らしいマンションは、ローンの残債以上の金額で売却できるでしょうか。
ただでさえこの日本は人口そのものが減少して高齢化が進み、都心への一極集中化が顕著になっています。
おまけにこの20年間はデフレのど真ん中で、高度経済成長時やバブル期のように賃金が年々上昇することも非常に考えづらいですね。。
銀座のど真ん中や梅田の一等地ならまだしも、需要の少ない地域でローンの残債以上の金額で売却することは難しいのではないでしょうか?
ローンの残債は2,000万円あるのに1,500万円でしか売却できなければ、頭金の100万円を失った上でさらに500万円の損失が出ます。
じゃあもっとローンの残債が減ってから売ろう!と思っても、日本の建物は年が経つにつれて痛むので、遅ければ遅いほど売却価格は低くなることがほとんどです。
土地の分しか価値が残らないこともよくありますし、売却するためにリフォームをするとその分お金が掛かります。
知識で武装して後悔を回避
説明を簡単にするために省きましたが、FXの場合はスプレッド(手数料)やスワップポイント、住宅ローンの場合は手数料やローンの利息、住宅を維持するための修繕積立金やリフォーム費用など、必ず余分にお金が掛かります。
この手数料や利息が欲しくて、不動産屋や銀行が一生懸命営業しているわけです。
長々説明してきましたが、知識もなく
FXは怖いけど、住宅ローンはOK!
なんて考えていると、後々大きな後悔をする恐れもあります。
「家賃並みの負担で家が買えます!」
「家を買っておけば資産になります!」
という耳障りの良い宣伝文句に踊らされることなく、まずは私たちファイナンシャルプランナーと一緒に冷静に資金計画を立ててみましょう!