遺産相続の流れと期限
まずは全体のスケジュールを把握！
今回は遺産相続の流れと期限について解説します。
遺産相続と一言で言っても様々な手続きがあり、さらに手続きの期限があるものも多くあります。
遺産相続を効率的に間違いなく進めるためにも、まずは全体のスケジュールをしっかり把握しておきましょう。
- 死亡
死亡届の提出
死亡を知った日から7日以内に死亡届を提出します。
死亡届を提出できる役所は下記の3か所のみですので、あらかじめ確認しておいた方が安心です。なお死亡後に葬儀社に依頼した場合は、葬儀社が"火葬許可証"の受け取りも併せてやってくれることが多いので、分からない場合は聞いてみましょう。
- 7日
初七日法要や葬儀費用の整理
葬儀・火葬が終了したら必要に応じて初七日法要や、香典の集計、葬儀にかかった費用の整理をしておきます。
葬儀に掛かった費用は遺産総額から差し引けますので、相続税納税の際に有利となります。
慌てず確実に整理しておくと後でスムーズです。ちなみに下記の費用は遺産総額からは差し引けませんから注意してください。
遺言の有無を確認
有効な遺言には法的効力があり、遺言の通りに相続しない場合は相続人全員の合意が必要です。
また遺産分割が終了した後に有効な遺言が見つかったら、最悪の場合は遺産分割がやり直しになることもあります。
故人が遺言を残していなかったか、しっかり確認しておきましょう。相続人と相続財産の確定
遺言がない場合は法定相続人が、故人の所有していた財産的価値のある物をすべて引き継ぎます。
財産的価値のある物とは現金預金などのプラスの財産に加え、借金やローンなどマイナスの財産も含まれます。
また故人が連帯保証人になっていたという場合は、その地位も引き継ぎます。つまりこの段階で重要なのは下記の2点をはっきり認識しておくことです。
相続するか決める
“自分は相続人なのか"と"相続する財産は何なのか"がはっきりした段階で、相続をするかしないかを決めます。
もしも借金等のマイナスの財産が多い場合や遺産相続に関わり合いたくないといった事情がある場合は、相続の開始を知ったときから3か月以内に所定の手続きが必要です。
この3か月間を｢熟慮期間｣といいます。
相続の方法は下記の3種類から選ぶことが出来ますが、この熟慮期間内に何もしないと"単純承認した"とみなされます。- 3か月
遺産分割協議
相続をするかしないかを決めたら、相続人全員で遺産分割協議を行います。
遺言がある場合は遺言の通りに、遺言がない場合は相続人全員で相続財産の分割方法を協議します。
遺産分割協議じたいは時期の期限はありませんが、相続財産の分割方法が決まらないと相続税の申告・納税が出来ませんので、相続開始から10か月以内には済ませておく必要があります。
遺産分割協議は電話等で連絡を取り合いながら進めるとスムーズです。
なお遺産分割協議が不調の場合は家庭裁判所の調停を利用する方法もあります。 遺産分割協議書の作成
どのような形であれ遺産分割協議がまとまったら、遺産分割協議書を作成しておきましょう。
遺産分割協議書を作成することは法律などで決まっているわけではありませんが、銀行預金の名義変更や相続登記の際に必要ですから、しっかり作成しておきましょう。
遺産分割協議書には誰がどの財産を取得るか正確に記載して、相続人全員が署名・捺印して出来上がりです。
みなさんが幸せになる遺産分割協議が出来ることを祈っています。相続登記・名義変更
遺産分割協議にて遺産分割の方法が決定したら、故人から相続人への名義変更をしておきましょう。
面倒だからといって名義変更を怠ると、次の相続が起きた際にとてつもなく面倒になります。
また何かあったときに不動産等を担保にお金を借りたりもできなくなりますから、とにかく後悔する前に名義変更や相続登記をしておきましょう。
銀行口座や不動産に限らず、自動車や株式などがある証券口座などの名義変更もお忘れなく！相続税の申告・納付
ついに相続の最終局面です。
ご自身が相続する財産が決まったら、その取得額に応じた相続税を申告し納付しなければいけません。
もしも相続税の基礎控除額を超えなければ相続税の申告も納税も不要です。
相続財産が基礎控除額を超えたとしても、税額軽減などの特例を利用する場合は納税額がゼロでも申告は必要です。- 10か月